「目標管理」を「6シグマ」に
いかに組み込むか!

   日本企業は、品質管理の「QCサークル活動」で見たように、現場のチームワークですごいボトムアップ力を発揮してきた実績がある。日本企業の現場は、目標や課題が明確になれば、これをどう解決するかは得意である。統計的品質管理手法を始め、色々な経営管理手法も学んでいる。一人一人の自主性を重んじた「目標管理」への取り組みも定着している。
 日本企業は競争力の見直しが迫られている。経営と現場が一体となって、関連する部門や担当者を巻き込んだ形で様々な課題を設定し、解決していく力が問われ直している。今こそ、具体的な手法に裏付けされた「目標管理」を全社的な「6シグマ」的な問題解決活動の中に組み入れ直す時ではないだろうか。


世界に向け
競争力をつけ直すための「6シグマ」

 「6シグマ」は、アメリカ企業が1980年代に世界市場を席巻した日本製品の高信頼性を超えることを目標とし、百万回に3.4回程度のエラーしか発生しない業務品質の改善を目標として取り組んだ問題解決活動である。
 この「6ッシグマ」には「基本的な指導原理として、「VOC;Voice of Customer:顧客の声の重視」、「CTQ:Critical To Quality:業務品質に関わる内部要因の解決」、「COPQ:Cost of Poor Quality:不良、エラー、欠陥等によって発生するコストの極小化」の3つがある。
 「6シグマ」は、世界に向け競争力をつけ直すために、経営の方針や目標を見直し、その実現のために、全業務部門が「VOC」から「CTQ]を絞り込み、「6シグマ課題」を設定し、その解決に取り組む、経緯トップと現場が一体となった全社的な問題解決活動である。
 こうした活動をさらに実体のあるものにするために、ここでは、課題の設定から解決、評価まで社員の自主性に委ねられた「目標管理」をどう組み込むについて考えたい。


「6シグマ」の実行体制を作る上で
欠かせない「目標管理」

 「6シグマ」は、顧客の声に応え、グローバルな競争に勝利するために、トップ主導で、確かな目標と課題に主体的に挑戦し、実績を上げ、自己実現を図る「企業人」をつくることがすべてである。
 「6シグマ」に関わる社員は、「6シグマキャスト」として経営のライン上に位置づけられ、「チャンピオン、マスターブラックベルト、ブラックベルト、グリーンベルト」で構成される。特に、「マスターブラックベルト」、「ブラックベルト」は専任で「6シグマ」取り組む。
 それぞれの任務、役割に応じて、「6シグマツール」の教育訓練が徹底的に実施される。「やる気重視、自主性重視」の考え方を中心に、経営トップが先頭に立っての社員教育に多大なお金と時間がかけられている。
 各部門が「6シグマ」で取り組む課題「6シグマ課題」は、各部門が担う、経営目標の実現に直結した部門の課題である。「目標管理」は「6シグマ課題」の実行体制を作る上で欠かせない管理手法である。
 「6シグマ」は組織的な経営システムとしての完成度は高いが、「6シグマ課題」の解決に向けた実行体制づくりの段階では、現場の自主性、主体性に委ねられた「目標管理」が威力を発揮するであろう。経営主導の「トップダウン型意思決定と現場のやる気とボトムアップ力を一体化させた「目標管理」の運営である。 
 ただ、この活動は、トップの強いリーダーシップによらなければならない。解決すべき問題は、まさに企業が競争力をつけ直すための重要な経営課題である。中途半端なやり方で、「誰かが協力するだろう」「俺は関係なさそうだ」で済まされてしまってはいけない。ここでは、「スピーディに確実に解決しなければならない経営課題であり、その解決のためには現場の主体性、自主性に裏付けされたボトムアップ力が欠かせない」という認識を全体で共有化できていることがすべである。
 日本企業によく見られる神輿として担がれ、現場に任せるだけの経営者では「6シグマ」を成功させることはできない。「6シグマ」の展開に当たっては、経営方針を明確にし、目標を定め、社員と一緒になって討議し、一体となってベクトルを方向づけしたら、あとは現場の「目標管理」による課題解決に期待し、まかせきる、そうした経営がどうしても不可欠である。


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