等価変換理論について


99.4.27
堀川様

 研究会の事務局のお願い、早速ご了解戴きありがとうござました。市川先生の「等価変換論」の件ですが、私も創造性開発の問題に関心があり、「問題解決型組織=創造的組織」をいかにつくるかの理論的、実践的研究がライフワ−クの一つになっています。
 特に、「
M5型問題解決技法」は、「発想法としてのKJ法の表札づくり」を基本にしています。この「表札づくり」は、極めて創造的な情報処理プロセスであり、その理論的背景を説明しようとして、市川先生の「等価変換論」に到達したという次第です。


 日本経済が第一変曲点を迎え、企業は生き残りをかけ「経営と組織と個人の新たな関係の構築」を追求し直す時代を迎えました。その関係とは「課題設定に向けての一体性」の追求です。経営トップや幹部職、一般社員の間で、「課題解決のための創造的情報処理プロセスの共有化」です。                            
 このことに関連して大阪研究会の堀川さんから、市川亀久弥博士の「等価変換創造理論」の紹介がありました。
 右の8枚の異なった画像には、ある観点から観察してみると、「分散」という共通した本質(等価性)を見ることができます。
 
 「
等価変換理論」は、様々な事象、情報をある問題意識で観察し、それぞれの存在や意味するところの「違い」を厳しく弁別した上で、表面上の「具体性」を棄て、内面にある共通した「本質」を見つけ出す一連の思考プロセスを理論化したものということができます。
 
 なお、
湯川秀樹博士は、創造性の問題の解決の手がかりは「類推」の能力に見いだされるとして、「弁別・同定の理論」を提唱しています。
 
「ニュ−トンがリンゴの落ちるのを見て、なぜ月は落ちてこないのかを疑った」という話をもとに、「リンゴと月の運動の違いを認めた(弁別した)上で、両者の運動に共通した本質を類推(同定)しようとして、「万有引力」(表札)を発見した」という趣旨の話を紹介しています。


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