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連帯感を失ってはいないか

 組織モデル論の中で、「 M−5型組織とは、経営・組織・個人が一体となった課題設定とそれぞれの役割と適性に応じた一貫した実行体制が重要される組織である」と定義しました。ここでは、「連帯感」という視点から、この問題をあらためて見直しておきたいと思います。

 日本の多くの企業では、中高年社員のみならず、30歳前後の若手社員に対しても、実力主義、能力主義という名の下に、厳しいリストラ生き残り路線が取られてきています。しかし、現実には、これまでの日本型経営システムに取って変わる「新しいシステム」のあり方がまだ曖昧だということもあって、今まで以上に「上ばかり見ているヒラメ社員」が生き残る結果になってはい
ないだろうか。そして実力や能力をのびのびと発揮しているどころか、足を引っ張られないよう
に戦々恐々と、いつ不満が爆発するかわからないような大変非生産的な心理状態にあるのではないだろうか。
 小室直樹氏は、「国民のための経済原論」の中で、「平成不況は、致命的アノミ−の導火線である」と過激なことを言っています。アノミ−は無規範、無秩序等と訳されますが、それは無連帯ということでもあります。デュルケ−ムは、「連帯こそ、人間にとってもっとも大切なもの」と説いています。連帯感を失いかねない平成不況は、小室氏の言うように危険な要素をはらんでいるのかしれません。
 
 今日私どもは疑心暗鬼の中で、何よりも大事なこの「連帯感」を失ってはいないだろうか。「安心して切磋琢磨できる同僚、安心して信頼できる上司、安心して任せられる部下」といった人と人、人と組織を結びつける「連帯感」こそが、将来に向かって生きる力の源です。先行き不透明で困難な時代だからこそ、実際的な方法論の裏付けを持って、「経営・組織・個人の一体となった課題設定とそれぞれの役割と適性に応じた一貫した実行体制づくり」をめざし、先ずは、人と人、人と組織を結びつける「連帯感」を回復させる経営をめざさなければならないのだと思います。 


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