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自然やさいで!
皆さんを健康に長寿を生きる
マクロビアンの世界へ!

橋本宙八からのメッセージ


ふくしまハウス主宰
橋本宙八

 1947年、新潟県に生まれる。ヨガ、断食等の体験を経て、穀物菜食による健康、長寿法「マクロビオティック」に出会い、その食の持つ理論と実践法に惹かれ、以来42年、この道の研究・実践に取り組む。
 福島県いわき市小川郷で、マクロビオティック実践道場「
ふくしまハウス」を主宰。これまで十数カ国、8700人以上を指導。
 

 1993年、ベラルーシのミンスクで開かれた「チェルノブイリ救援国際会議」に出席し、「食からの提案」を講演。その縁で翌年、チェルノブイリで被曝した子どもたち9人を「ふくしまハウス」で保養滞在させる。その年、再度ベラルーシを訪れ、汚染地帯を視察し、子どもたちとの再会を果たす


特別寄稿
ふくしまハウス「マクロビアン」
復興計画と協力のお願い

18.8.3



自然やさいのススメ
@

フクシマ」だからこそ求められている自然やさいづくり

2017.04.08
A

「奇跡のリンゴ」が生まれた理由(わけ

04.26
B

「季節の自然やさい」を食べて自律神経を整えよう

05.02
C

世界に広がる自然栽培

06.05
D

野菜のいのちの話
生命エネルギーにあふれた自然野菜

07.18
E

自然野菜のタマネギは眼にしみない?

09.10
F

秋なすは嫁に喰わすな?      

10.04
G

心を育てる自然農から学ぶこと

10.27
H

花粉症の原因と簡単な手当法

2018.03.20
I

糖尿病患者が1000万人を超えた!

07.08
J

猛暑を乗り切る食事対処法

07.30
K

異常気象とカエルの話

08.03
L

熱中症対策 水の話から野菜の話へ

08.03
M

雑草の強さから学ぶ野菜づくり

10.27





その1
フクシマだからこそ求められている
自然やさいづくり

自然農法の創立者
福岡正信先生との出会い 
         

 今から44年前、26歳の時に私は、誰もが青春時代に抱える壁を乗り越えたいと、お寺の断食堂で生まれて始めて一週間の断食を体験しました。

 その断食の直後に、それまで経験したこともないほど世の中がきれいに見え、心が平和になった体験から、いかに身体の中の汚れを落としいのちを自然で健康な状態に保つことが大切かを知りました。

 その時、断食堂で、自然農法の創立者である福岡正信先生のお弟子に出会い、その農法の不思議さ、そして、素晴らしさを沢山聴く機会を得ました。その後、実際に福岡先生の講演を聞き、作られた稲の驚く程野性的な姿を見て、「農薬」も「化学肥料」も使用しない農業、「耕さない、施さない、大地を傷つけない」農法の素晴らしさを知りました。

マクロビオティック
「食物による健康法」がライフワークに
 じつは、この断食体験と自然農法との出会いが、その後の「マクロビオティック(食物による健康法)」とのご縁となり、やがてこれが私のライフワークとなり、人生を180度転換させてくれるものとなったのです。  

 この食物による健康法もまた断食や自然農法とまったく同じ発想の中にあります。それは、「いのちの中を安全安心な食物で自然の力で健康にする健康法」であり、モットモットで狂奔する今の社会の物欲第一、経済狂奔の考え方には逆行する「あれも要らない、これも不要」の引き算の考え方です。
 これは、これからの時代に多くの人に求められるものであり、人間が健康になり、社会が平和で健全になるための大切な道のりの一つであると思っています。

原発事故
この過ちからの復興の道は?
 自然を無視し、あまりにも人間の知識、我欲に偏り過ぎたために起こしてしまった原発事故。この過ちからの復興は、間違いなくその反対の生き方の中に答えがあります。
 「自然を愛し、理解し、寄り添い、考え行動する人のあり方と社会のあり方をどう具体的に創造できるか?、自然とどう共生する社会を創り、どう傷ついたいのちを個人と社会の中に取り戻すことができるか?」 にあると考えます。

 フクシマ復興プロジェクトが提案する「大地もいのちも傷つけない<自然なやさいづくり>」は、フクシマだからこそやれる。フクシマだからこそやらなければならない、国際社会が今も、そしてこれからもずっと注視、期待し続ける<フクシマの復興の心>ではないかとそう考えています。

 ぜひ、みんなで自然な野菜づくりを始めましょう!
そして、フクシマの大地を癒し、フクシマで傷ついた多くのいのちを自らの手で癒すことを始めましょう!     
 




その2
 「奇跡のリンゴ」が生まれた理由(わけ)

自然の大地の力で育てた
木村秋則さんの「奇跡のリンゴ」
 少し以前の話になりますが、多くの新聞、雑誌、テレビ等のメディアに取り上げられ、その誕生秘話が映画にもなった木村秋則さんの「奇跡のリンゴ」のことを知っている人は沢山いると思います。

 それまで、リンゴの栽培は、農薬も化学肥料も一切使わずに作ることはほとんど不可能と言われていました。それだけに、この木村さんの奇跡のリンゴの成功は一躍時の話題となり、たちまち全国に知られることとなりました。

 なぜ、木村さんは、そんな理想のりんご作りを成功させることができたのでしょうか?

 彼の著書によると、青森県でりんごの栽培をしていた木村さんは、自然農法の提唱者である福岡正信さんに出会い、化学肥料も農薬も使わないリンゴが作れないかと研究を始めました。
 無謀とも思えるこの試みに、当初、近隣の農家の人たちからは気違い扱いされ、農薬を使わない畑は害虫の製造元だとも非難され、やがて、家族の生活費にさえ困窮するようになってしまいます。

 そんな状況に希望を見いだせなくなった木村さんは、とうとう自殺を決心するまでに追いつめられてしまいます。裏山にでかけて木にロープをかけて死のうと空を見上げたその時、その木のあまりにも見事な姿にふと我に帰り、どうしてこんなに素晴らしい木が育ったのだろうとその木の足下に眼をやります。
 その瞬間、その木が、フサフサとした枯れ葉に覆われた豊かな大地の力で育っていることに気付いたのです。

 以来、木村さんはひたすら自然で健康な土造りに励み、やがてそれまで誰も成し遂げることのできなかった化学肥料も農薬も使わないリンゴの自然栽培に成功したのです。

良い野菜づくりも、
自然の力を活かす健康な土作りが欠かせない
 この木村さんの成功物語は、私達現代人が、いかに目先の結果にばかりに目を奪われ、その大本である自然の力を見抜くことの大切さを見失っているかを教えてくれています。

 奇跡のリンゴは、あり得ないリンゴが作れたと言う奇跡というよりも、本来当たり前だった農のあり方に、この混乱する社会の状況の中でよくぞ気付くことが出来たという、その木村さんの本質を見る目の素晴らしさと気付きこそが、まるで奇跡のようだったからなのだと思います。 

 しかし、じつは、昔から農家の人々は、良い野菜づくりには、自然の力をとことん活かすための健康な土作りが欠かせないことは良く知っていたのです。それがいつのまにか、社会全体が経済を優先し、誰もがそれに狂奔するようになってしまい、本来の農のあり方を忘れてしまっていただけなのでした。




その3
「季節の自然やさい」を
食べて自律神経を整えよう!

ガンは生活習慣病
 日本人の3人に一人がこの病気で死ぬと言われるガン。今では、夫婦二人の内一人がガンになってもおかしくないと言われるほど全国に蔓延しています。

 ガンはかつては「成人病」と呼ばれていましたが、その原因を知ると必ずしも大人ばかりがかかる病気とは言えず、その原因が生活習慣にあることから「生活習慣病」と呼ばれるようになりました。

 考えてみれば、現代人ほど生活習慣が乱れている時代もないと思われます。その理由は、本来自然であるべき生活環境が極端なまでに悪くなったことにあります。
○人工的な住環境
○膨大な数の車や電車
○騒音や排気ガス
○減少する緑の環境
○人間関係から生じる多大なストレス
○農薬や化学肥料で栽培され、食品添加物で加工された粗悪な食物の蔓延
○その美食、飽食の習慣等々。
 どれをとっても、病気にならない方がおかしいと言えるほどのものばかりです。

身体や心の日々の養生を!
自然なやさいをバリバリ食べて!

 この異常な状態から身を守るためには、せめて、規則的な生活を心がける、休みには海や山、川や森などの自然環境を楽しむと言ったことが必要です。
 
 何よりも現実的で且つ誰にもできることは、
 せめて、ストレスのない内的環境を整えること。
 つまり、
 身体や心の日々の養生を心がけることです。
 その最も簡単な方法の一つ、
 それは「安全、安心な野菜を食べること」です。
 
 昔から日本では、食事の原点は「旬(しゅん)」に有り」と言われて来ました。これは、「春夏秋冬、それぞれの季節に採れた野菜をその時々に食べることで、身体の外と内側の環境(気候といのち)とを調和させる。人間が健康であるための最も大切な基本である」という古人の優れた智慧でした。

 「病気は自律神経の乱れから」とは医学的にも良く言われています。この自律神経の乱れの一因が、現代人が季節はずれの野菜を食べるようになったことにもあると言えるのです。
 
 元気な野菜を季節に食べる!
 こんな簡単なことも立派な食養生の一つです。
 自然な野菜をバリバリ食べて、
 生活習慣病にならない身体や心を自らの手で養いましょう。


そのC
世界に広がる自然栽培

近代農法の深刻な行く末 
 世界の人口増加に伴い、大量の食糧を供給、生産するために長年行われて来た農薬や化学肥料を大量に使用する近代農法が、今、大きくその方向を変えつつあります。

 世界有数の食糧生産地であるアメリカでは、農薬や化学肥料の大量投与によって大地が疲弊し、表土が流れ、塩害等によって作物が作れない大地になる危険性が随分以前から叫ばれて来ました。

 その影響は、単なる経済的損失に留まらず、川や海の汚染などの自然環境の破壊、動物への影響等々無視できないレベルとなりつつあります。

高まる
消費者の有機農法への関心

 この深刻な問題は世界中どこでも起こり得ることであり、近年、農業者の健康被害、食の安全、安心を求める消費者の意識の高まりなどから、自然な野菜づくりを求めるニーズが世界の至るところで拡大しつつあります。

 その例が、右の2つのグラフで示されている先進国を中心にした有機(オーガニック)農法に対する人々の関心の高さであり、米国オーガニック食品売上の推移です。

 この潮流は今後ますます拡大、発展すると思われます。しかし、有機農法の認証を得るための規則がいろいろ大変なために申請を避ける農家も多く、小規模農家にとってはまだまだハードルの高い制度であることも否めません。

ふくしま自然やさいづくり
誰もが、いつどこでも実践可能な農法として!
 フクシマ復興応援ネットワークがススメている「自然な野菜づくりは、この安全、安心の食を求める世界の潮流を原動力として、誰もが、いつどこでも実践可能な農法です。

 フクシマで起きた人類未曾有の原発事故で日本の豊かな大地は、広大な範囲で放射能によって汚染されてしまいました。その大地を元のように安全、安心な自然に戻すことは誰もが願っています。
 また、放射能によって心配される健康被害も、もうこれ以上拡大させないこともまた多くの人が望んでいることです。この二つの問題は、フクシマ復興の最重要の課題であり、フクシマの未来へと向う核心であると考えます。

自然やさいを実際に、
知ってもらい、食べてもらうことで!!
 自然な野菜づくりの実践に加えて、それによって作られた野菜を食べることは、この両方の課題を同時に解決することです。生活環境が変わり、元気な野菜を食べることで身体はメキメキとその治癒力を回復してくれます。そんな野菜をより広い地域の人々に知ってもらい食べてもらうことで、フクシマの復興を多くの人の命で実感してもらうこともできるのです。

 一人一人が、どこに居ても、今すぐにでも始めることのできる復興のための具体的な行動、一人でも多くの人の参加を心から願っています。



そのD
野菜のいのちの話
生命エネルギーにあふれた自然野菜

野菜がもつ生命エネルギー
 世の中には、まだ科学では解明できないことが一杯ある。私達の命にとって欠かすことの出来ない食べ物の世界もまた、この不思議だらけの世界だ。

なぜトマトやナスやカボチャがあんな色や形をしているのか?
なぜあんな味なのか?
キャベツが丸く葉っぱを巻く理由は何か?
種を大地に撒くだけでどうしてあれほど見事な野菜が育つのか?
等等、子どもが疑問を抱くようなそんなこともまだ科学でも十分には分っていない。

 勿論、野菜の種にどんな成分が含まれているかは解明されてはいるが、しかし、その種を一度バラバラにして成分をまた元通り集めても決して元の命ある種には戻らない。良く考えれば不思議なことだが、そこには、科学の理屈を超えた何か特別な力が隠されているからなのだ。

 私は、この野菜の命の力のことを「生命エネルギー」と名付けている。面白いことにこの生命エネルギーは、異なる成分を持つどんな野菜でもまったく同じ類いのものだ。
このエネルギーの正体とは何か?
それは一体どこから来るものなのか?

 簡単に言えば、それは野菜が育つのに欠くことの出来ない大地(地球)のエネルギーであり、空気や水、気圧や気温、太陽や月から不断に降がれる光や熱などのことだ。

 つまり、自然界を形づくっている様々な要素のことだが、野菜の目に見えない命の力とは、これらが互いに融合、調和し合ったところから生まれて来る命の不思議な力のことである。どんなに野菜の成分をかき集めたところで、この命の力がそこに備わらなくては、絶対に野菜に生命は宿らない。そんな力のことである。

 例えば、海外に行き野菜を食べたことのある人なら分かるだろうが、何処に行ってもトマトはトマト、キュウリはキュウリで色や形はあまり変わらない。しかし、その味や身体に及ぼす効果や影響は大いに違うものがある。これが、その国の気候風土によって育てられる生命エネルギーの違いによるものなのだ。

 世間では、野菜の正体は、成分ですべてが分かると思われているが、それは野菜を科学的に解明して分かった一部の栄養素のことに過ぎない。しかし、野菜の命の大本は、自然そのものなのだから、野菜を食べるとは、野菜のいのちを通して自然界のエネルギーを体内に摂り込むことだとも言えるのだ。そして、むしろこの力こそが、野菜が持つ本来の美味しさの基本であり、食べた時に身体や心を元気に、そして、健康にしてくれる力の根源なのだ。

農薬や化学肥料で育てられた野菜は
生命エネルギーがまったく欠落している!
 世間では良くオーガニックや無農薬、無化学肥料の安全、安心な自然野菜は高いと言われる。たしかに自然野菜は、普通の野菜よりはずっと手間のかかるものなので、店頭で売られる際にはどうしても割高な価格になってしまう。

 その結果、身体への影響に対して無関心な人は、当然、安い方の野菜を選ぶことになる。また、例え日頃から健康を考える人であっても、懐具合を考えてしまうとふと安い野菜に手を出したくなってしまう気持ちにもなるものだ。

 しかし、農薬や化学肥料たっぷりで育てられた野菜は、いくら料理を上手にしても味が出ないだけではなく、当然、健康にも悪く、時としては病気の大きな原因ともなってしまう。それよりも何よりも、そうした野菜の一番の問題は、野菜の最も大切な命の力である「生命エネルギー」が、そこにはまったく欠落しているということだ。

生命エネルギーにあふれた自然野菜
 一方、自然な野菜は、間違いなく食べた人を元気にし健康にする力がある。病気の人がそれを食べたら病気を治す力もある。心を健やかにする効果さえある。そんな素晴らしい「生命エネルギー」がそこには一杯含まれているのだ。

 もしあなたが、スーパーに並べられている自然野菜が高いなと感じることがあったら、ぜひこのことをちょっと思い出して欲しい。
今あなたが目にしているその価格表は、あなたの健全な身体や心を養ってくれる「とてつもなく価値のある生命エネルギー」の値段がまったく上乗せされていない超割引価格なのだと言うことを・・・。



そのE
自然野菜のタマネギは眼にしみない?

タマネギが眼にしみるのは当たり前?
 少し前の話になるが、農業をやっている友人が普通の栽培法で作ったタマネギと自然農法で作ったタマネギの違いについて教えてくれた。出荷のために別々な車で運んでいて気付いたことだと言う。

 それによると、普通栽培で作ったタマネギは、タマネギの刺激臭が車内一杯に広がってとても眼にしみたのだが、自然農法で作られたタマネギの場合はそんな刺激がほとんど感じられなかったのだと言う。

 面白い話である。普通に考えれば、タマネギは眼にしみるのが当たり前であり、刺激が強いほど良いタマネギだと考えている人も多いと思うが、じつは、最も自然であるはずの自然農法産のタマネギは、眼にしみないと言うのだ。なぜなのだろう?という話である。

自然野菜にはアクがない!
 じつは、私はこれと同じようなことをずっと以前から気付いていた。と言うのも、長年いわきの我が家で育った放任野菜は、どんな野菜もこのタマネギ同様に「アクの無さ」に驚くことがしばしばだったからである。

 大根も人参も葉ものも、スーパーで売られている野菜に比べたら、いわゆるその種の野菜特有のアクというものが驚くほど感じられなかった。あまりにもサラリとしていて、時には物足りなく感じるほどだったのだ。

 しかし、一旦それを料理すると、どれもがじつにまろやかな旨さになって、身体にすっと溶け込むような素晴らしい味になってくれる。どうしてそうなのか?いつもその理由を考えていたのだが、よくよく考えて分かったことは、しごく当たり前のことだった。


自然野菜は雑草と共生して育つ!
 そもそも自然野菜は、自然な栽培の方法であるからこそ、周囲の環境との調和がとても良く取れた野菜として育つ。言うなら、その辺の雑草が、様々な草との共生の中で育つことで、否応無く周りとの調和が取れた見事に健康な雑草として育つのと同じことだ。この多様性のある環境こそが、じつは、バランスの良い生命を育んでくれる「自然」というものの大きな特性なのだ。

 それに比べて一般農法では、同種の野菜ばかりをひたすら一つの畑に大量に栽培する上に、化学肥料を大量に施し、農薬も大量に散布する。その上、雑草も徹底的に排除する。人間の場合で言うなら、無菌状態で食品添加物を一杯食べさせるようなものなのだ。当然、本来の野菜の味ではなく、妙なアクばかりが強く出てしまうことになる。さらに、極端に人工栽培である野菜工場などで作られた野菜の場合は、環境がさあに極端に不自然であるために、そこで育てた野菜の味は、本来の野菜のそれとは、似て非なる味となってしまうものなのだ。


タマネギが眼にしみるのも
不自然な環境で育てられた病弱な野菜であるため!
 「タマネギは眼にしみるものだ」と言う、一見その野菜独特の自然なアクと思われているものも、じつは、多くの場合、不自然な環境で育てられたことで生じる病弱な野菜であるために発生する偏った臭いや味に過ぎないのだと思う。

 植物でも動物でも、この地球上に生きるあらゆる生命は、個がいつでも全体である自然界の環境と一体中でこそ健全に育つ。異なる生命に囲まれているからこそ互いに影響し合い、調和、融合し合い、よりバランスの取れたまろやかな生命として育つ訳だ。それが本来の自然の営みであり、そんな自然な環境の中で育てられた野菜だからこそ、アクの無い眼にしみないタマネギも育つのだ。

 最近、スーパーで売られている野菜のどれもが、昔の野菜と比べててっきり味が変わってしまい、旨味も、力も無い野菜が増えて来たと感じている。人間の都合だけを優先させた農のあり方に、どこかに無理が生じるからだろう。

 友人がふと漏らした「眼にしみないタマネギ」から教えられたことは沢山ある。ぜひ一人でも多くの人に、自然農法で野菜を栽培してもらい、刺激もアクもない、本来のまろやかなタマネギの味を堪能してもらいたいものである。



そのF
秋なすは嫁に喰わすな? 

なぜ「ナス」が?
「食養生」の視点で言うなら
 日本には昔から、食にまつわる様々な言い伝えがある。その中の一つに、「秋ナスは嫁に喰わすな」と言う話がある。

 これは、一説によると、秋ナスほど美味しいものはない。そんな旨いものを嫁などには喰わせられない。と言った、まさに昔からある日本の男尊女卑の差別の一つだと言った説明がある。

 しかし、良く考えると、これはあまりにも前時代的な解釈だ。なぜなら、旨いものはナスに限らない。身の回りには昔から山ほどあったからだ。であるはずなのに「なぜナスが?」の話である。

 これを、食物による健康法(食養生)の視点で言うなら、夏の野菜の代表格であるナスは、そもそも灼熱のインドが原産地で、他の夏野菜に比べて、体を冷やしたり緩めたりする性質が強い。そのために、秋と言う寒さに向う季節に過剰に食べてしまうと、体が冷えたり緩み過ぎてしまって、女性の場合には妊娠しにくい体調になってしまうと言う話なのだ。

 すでに妊娠している場合には流産の危険性だってなくはない。そんなナスを嫁には食べさせられないということで「秋のナスは嫁に喰わすな」ということになるのだ。

 たしかに、いろいろな症状を食べ物の観点から診て来た経験から言うと、皮膚病や口内炎、腫れものなどの症状がある場合には食べ過ぎは少々リスクになる食材でもある。しかし、反対にナスは、肉や魚、乳製品などの食べ過ぎで太っている人にはダイエットの効果があるとも言える。

 どの食材も、それぞれの個性や役割がある。いつも用途に応じて選択できる眼も養って欲しいものである。また、旨いものほどつい食べ過ぎてしまうものだ。健康維持のためには、そこそこに食べる方がいいと言うのは今更言うまでもない。

 現代は、食の季節感がほとんどなくなり「旬(しゅん)」外れの食材がスーパーに溢れている。不妊症の若いカップルが増えていると聞くが、こうした食の傾向もまたその理由の一つかも知れない。

 秋ナスはたしかに旨いものだが、寒さに向う季節には、そろそろ、体を冷やす夏野菜は減らして、体を温める根菜類や豆類、穀物などを食べるようにしたいものである。

 着る服以上に、いのちには季節毎の衣替えが必要である。日本の食の教えには、健康になるためのこうした古人の素晴らしい智慧が至るところに潜んでいる。ぜひ大切にしたいものである。


そのG
心を育てる自然農から学ぶこと 

食物健康法の原点は自然農法に!
 私が自然農法との出会いから食物による健康法(マクロビオティック)に辿り着いたことは以前にも記した。長年実践、探究してきた食物健康法の原点もここにあって、例えて言うなら、それは「いのちの自然農法」でもあるとそう思っている。

 そんな自然農法の提唱者である福岡正信氏の教えを引き継いだ人たちは世界中に一杯居るが、その中の一人に日本で長く活躍されている川口由一さんが居る。川口さんは自分の農法を「自然農」と呼び、全国で数多くの若い実践者たちを育てている。

 その川口さんとは30年ほど前に縁があり、いわきの我が家でも、自然農による米づくりのワークショップをやっていただいたことがあった。その時、心に残った思い出話が二つある。

自然農は、
無用、無益な人為は出来る限り捨てる!

 その一つは、原野を開墾するために野バラを刈っていた時、山ほど集まったトゲだらけの枝の始末を、自然農ではどうするのだろう?という疑問が湧いた。腐らせて堆肥にするのか?それとも、燃やして灰を大地に返すのか?どう始末したら良いかを川口さんに聞いてみた時の話である。

 じつは、その時に私は、すでに自分なりの判断で燃やしてしまっていたのだったが、「野バラは、どうしたら良かったのでしょうか?」と聞くと、彼はすかさず、「宙八さんはどうしたいと思われたんですか?」と、反対に質問されてしまった。

 「ここに残して置いても始末が悪いので燃やしてしまいました」と言うと、「そうですか、それでどうでした?」とまた聞かれたので「ええ、午後から燃やし始めたんですが、山ほどあったのですっかり夜までかかってしまい、満天の星空を眺め乍ら真夜中まで焚き火を燃し続けたのですが、その気持ちの良さと言ったら生まれて始めて感じたほどの最高の気分でした!」と言うと、「そうですか、それは良かったですね!」という答え。まるで禅問答のような答えだが、それは、きっと、「素晴らしい焚き火が出来たのなら、それは何よりのことでしたね」ということであったと思う。

 もう一つの話は、原野を田んぼにするための整地作業をしている時のこと。私は、田んぼにするには、雑木の根はきれいに抜きとらなければならないと考えていたのだが、さて、この切り株の場合はどうしたものかと川口さんに聞くと、さりげなく彼は、「その切り株の上に種籾をそっと置きましょうか?」と言う。余りにも思いがけない返答に、一瞬「えっ!」と驚いたが、それ以上の質問はついに私の口からは出て来なかった。

 理由は、彼が何を言いたのかがすぐに分かったからだが、「根はやがて腐って肥やしになります。それまで少し待ったら如何でしょう」と言う事だったのだろうと今でもそう思っている。 

 今では、川口農法として広く社会に知れ渡った「自然農」は、こんな会話からも分かるように、無用、無益な人為は出来る限り捨てて、自然に寄り添う心を持つことの大切さを教えている。彼のそうした農に向き合う際の本質的心構えとも言える一言を聴けたことが、今でも忘れられない私の大切な宝物になっている。

 現代に生きている私達の心の中には、目的を果たすためであれば、どんな風に自然を破壊しても構わない、と言う自然に対する甘えや暴力の心がどこかに潜んでいるように思われる。

自然農法で大切なことは、
耕さないこと
 川口さんは、「農業において最も大切なことは、耕さないこと。自然に任せておけば、そこに暮らす草や虫、微生物たちの生命によって土は必ず軟らかくなり、耕す必要はなくなります。耕せば、虫や微生物など無数の生物が暮らす環境が破壊され、肥料なくしては作物が育たない悪循環に陥ります」と語る。

 この素晴らしい考え方は、私が探究する食物による健康づくりにもそのままそっくりと通じる言葉である。現代の私達は、あまりにも安易に、そして乱暴に、自らの身体や心の自然性を破壊してしまっている。久しぶりに思い出した川口さんの自然農に対する心のあり方は、そのまま、いのちの自然を出来る限り傷つけない、壊さない「食物による健康法」の本質でもあると改めてそう思わせてもらった。



そのH
花粉症の原因と簡単な手当法

花粉症の原因はアレルギー源となる食べ物
 花粉症の季節真っ只中である。この病気を抱えている人たちにとっては、とても憂鬱な季節である。花粉がどのくらい飛んで来るかが天気予報で放送されるのだから、それだけ多くの人が花粉症で苦しんでいると言うことでもある。

 じつは、花粉症は、杉林のそばに住んでいてもかからない人はかからないのだから、必ずしも杉の花粉だけが原因であるとは言えない。空気や水の汚染、排気ガスや生活環境の悪化なども大いに考えられる。

 さらに、最も直接的な原因である食物の視点から言えば、そもそも花粉症は、アレルギー体質であることが一番の問題となる。従って、その原因が花粉以外のどこから来ているものかが分かれば、治し方もそう難しいものではない。

 体質は日々の食べ物から作られる。従って、アレルギー源となる食べ物を突き止めてそれを食い改めることが出来れば、症状も体質も自然と改善する。


問題は食物に使われている大量の化学物質
 野菜や米、果物の栽培等に使われる農薬や化学肥料から始まり、家畜の飼料などにも抗生物質やホルモン剤などが使われていて、肉や乳製品を介して日々大量の薬物が体内に取り込まれているのだ。

 この悪しき食環境にさらに拍車をかけているのが、美食、飽食、ジャンクフードやファーストフードなどの現代人の食習慣である。この食の実態を知ると、もはや、現代人がアレルギーにならない方がむしろおかしいとさえ言える。

 花粉症を根本から改善するには何よりまずこうした化学物質を可能な限り体に取り込まないことなのだが、この簡単な食の改善も、じつは、好き嫌いが絡むことなので結構難しいことでもある。
 とりあえずここでは、その深い原因は追求せず、花粉症を治すためにはどうすれば良いか?具体的なアドバイスを書くにとどめて置く。

無農薬、無化学肥料などの自然野菜や穀物
番茶がお勧め
 花粉症というのは、その症状が眼のかゆみやくしゃみであることからも分かる通り、鼻や眼の奥にある鼻腔内のアレルギーの状態が一番問題であるのだから、これを直接刺激する食べ物をまず気をつけることが肝要である。

 その原因となる食べ物は、多くの人が好む揚げ物、脂肪の多い肉や魚、乳製品、甘い菓子類、果物、アルコール、甘いジュース類等だ。
 これらがいくつか重なってしまうと、確実に花粉症の症状を悪化させてしまう。それを避けるためには、これらの食や飲み物を極力減らすか止める必要がある。それが実行できれば、驚くほど簡単に症状が改善されることを実感するはずである。

 避けるべき食べ物や飲み物の代わりに、お勧めは無農薬、無化学肥料などの自然野菜や穀物、つまり、良質の穀物や野菜を良く噛んで食べること。また、飲み物を取るなら番茶をおすすめする。その番茶に時々梅干しと生姜一つまみ入れて飲むと、さらに症状が改善される大きな効果を感じるはずだ。

生姜のすりおろし汁による
安上がり治療法も
 さらに、次のような手当法をやってみることである。用意するのは、生姜一かけら、少々大きめの鍋にたっぷりのお湯、タオルとバスタオルそれぞれ一枚。 

 やり方はいたって簡単。少し大きめの鍋にたっぷりとお湯を沸かし、一度沸騰させたお湯を80度ほどの温度に下げてその温度を保ったまま、そこに一かけら5センチほどの生姜のすりおろし汁だけを入れる。

 そのお湯に、二つか四つに長く折ったタオルかバスタオルをつけて良く絞り、それを鼻や眼の上に乗せて冷めないようにバスタオルで覆う。これを何度か繰り返すだけで花粉症の辛い症状はかなり改善できる。至極安上がりで簡単な治療法もなので、花粉症で苦しんでいる皆さんにはぜひオススメする。



そのI
糖尿病患者が1000万人を超えた!

糖尿病がガン以上に危険領域に!
 あらゆる生活習慣病の温床と言われ恐れられている糖尿病の日本での患者数が2016年度に1000万人を超えたことが、厚生労働省の「国民健康、栄養調査」で分かった。
 これは、他の先進国でも同じような上昇傾向が見られ、世界保健機関(WHO)では、ガンの危機以上に危険な領域に入ったと世界各国に警告を発している。

 

「糖質制限」という食事法が流行っているが
 そのせいもあってか、最近日本で流行しているのが「糖質制限」という食事法である。糖尿病や肥満予防のために米やパンや麺類等の炭水化物を極力食べないと言う健康法だが、代わりに、肉や魚などのタンパク質中心の副食類はどれだけ食べてもいいと言うものだ。

 これではまるで米や麺類などの炭水化物が病気の原因のようにも聞こえるが、コメを長年主食とし世界有数の長寿国を実現した日本であること、また、健康のために玄米食を薦める立場から言えば、これには大いなる異論を唱えたい。

元来自然であるべき現代人の体が化学物質でいっぱい
 そもそも、糖尿病に限らず生活習慣病の大きな原因は、現代人の美食、飽食にある。その上、農薬や食品添加物などの化学物質の大量摂取。さらに、一般的な食事では、一日に約10g、数百種類と言われる大量の化学物質を年間4kg以上も体内に取り込んでいる。元来自然であるべき現代人の体が化学物質で一杯になり、複合汚染を起こしているのが最大の原因である。

白砂糖の過剰摂取も大問題
 また、それ以外に糖尿病の直接的な原因と言えるのが、あらゆる加工品や飲料、嗜好品等に大量に使われている白砂糖である。これは最近、医学的にも解明されつつあるが、白砂糖の問題は、甘味の原料であるサトウキビ等を徹底的に精製、精白し、100パーセント近い純度にしていることだ。

 この高純度の糖分が食品の質や味を安定させ、防腐剤代わりにもなると言うことからパンを始めとしたあらゆる加工品や料理等にも大量に使われている。最近の惣菜や外食は元より、家庭内の味付けでさえ異常に甘くなっているのは、誰もが周知の事実である。

 白砂糖は、体内に取り込まれると一気に吸収されるために血糖値が短時間に上昇する。その急激な上がり具合を抑えるために膵臓からインスリンを分泌し血糖値を正常な状態に保とうとするのだが、この状態が慢性的に繰り返されるとやがて低血糖状態が起こり、脳への糖分が不足して様々な問題を引き起こす。甘いもの好きの年寄りが物忘れが激しくなり認知症になるのも、こうした類の現象である。 

 また、案外気づいていないのが、自動販売機等で売られている清涼飲料水だ。例えば、コカコーラには500mlで14.1個分に相当する角砂糖が使われている。また、ファンタオレンジやカルピスには14.3個分。「カゴメの野菜一日これ一本」には200mlで3.4個分。缶コーヒーのボスとろけるカフェオレには11.1個分等々、実は、飲み物にもこれほど驚くほどの白砂糖が入っているのだ。毎日何本もの清涼飲料水を飲んだら、知らない内に何十個もの角砂糖を食べたのと同じことになってしまう。

お薦めは
全粒穀物や野菜等のホールフードをよく噛んで!
 以上のことからも分かる通り、糖尿病を始めとする現代習慣病を予防し、改善するためには、美食、飽食を控え、農薬や食品添加物を極力口にしないようにし、白砂糖を過剰に食べないことが必要なのだが、正常な脳の働きには良質の糖分が欠かせないと言うこともまた事実である。

 そこでお薦めするのが、玄米や麦、その他の精白していない穀物類を主食として食べることである。大根や人参などの野菜類もまた、できる限り皮のまま、一物全体食で食べることがより良い効果を生む。全粒穀物や野菜等のいわゆるホールフードは、普段捨ててしまっている表皮にその大きな効用があり、これらの皮ごと全体を食べる野菜や穀物は、胃腸に取り込まれる際にゆっくりと体内に吸収されるために、急激な血糖値の上昇を抑えることができる。そしてまた、人間にとって理想的な良質の糖分を脳へと供給することもできる。

 さらに良いのは、こうした食物を一口50回から100回くらい丁寧に咀嚼することだ。この咀嚼は、糖尿病に限らずあらゆる病気の予防や改善に効果がある。食べ物をしっかりと噛むだけで、血糖値の上昇を抑えることができる。糖尿病や生活習慣病が心配な人には、ぜひ試していただきたい食べ方である。


そのJ
猛暑を乗り切る食事対処法  

医者は言う
「熱中症」より恐ろしい「夏血栓」
 いのちの危険を感じるほどの暑さが続いている。気温が気象観察史上初の41度を記録。熱中症による死者数が過去最多の1週間で65人となり、天気予報でもいよいよ気温が危険水域に入ったことを警告している。

 熱中症からどう身を守るか?その対処法がメディアで色々報道されているが、その多くは、十分に水分を飲む、塩分をとる、屋外での運動は極力避ける、睡眠時には冷房を欠かさない、と言ったもの。ただし、めまい、だるさ、吐き気を感じたら迷わず救急車を呼ぶ!ことだと注意を促す。

 さらに、この熱中症より恐ろしいのが「夏血栓」だと医師は警告する。それは、脱水症状で血液が濃縮し、血管内に血栓ができ、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症などの症状を引き起こすと言うもの。これは、一刻の猶予もならない深刻な事態だと言う。

痩せ型、肥満型別
「食の視点」からのコンディション作りにヒントが
 これは、一般的な暑さ対処法とは少々異なる「食の視点」からの提案である。日頃食べている食べ物の性質を知って、体を暑くするものを極力避け、暑さに強いより体を涼しくするためのコンディション作りをどうすれば良いか考えてみたい。

 例えば、痩せ型で一見弱そうに見えるタイプが意外にも暑さに強いと言ったことがある一方で、肥満型でいかにも元気そうに見える人間が、案外、暑さにはとても弱かったりもする。

 これは、痩せ型の人は、和食のように比較的おとなしい野菜や穀物などを中心とした低カロリーの食事をとる傾向があり、日頃から体温もそう高くはなく熱がこもりにくい体を持っているからだ。

 反対に、肥満タイプの人は、カロリー過多の動物性食品が多い傾向があり、体がいつも熱い状態になっているので、血液も固まり安く、血栓もできやすい。猛暑の中では大いに注意が必要な体だ。動物性食品を減らし、美食、飽食も慎む。このタイプが体を涼しく保つためにはとても重要なポイントである。

インド人から学べる猛暑対策食事法
 その良い例は、熱帯地方に住むインド人だ。インド人の食事は、熱帯地方の気候
風土にはとても適した食事だ。

@彼らの多くは、日頃、野菜食(ベジタリアン)が中心の食事である。
A小麦を焼いたナンを主食に野菜のカレーを毎日のように食べている。
Bこの香辛料は、血液の流れを良くし、体にこもった熱を体外に放出してくれる。

日本人はどうすれば良いか?
@冷たいそうめん等の麺類は、まさに夏の食べ物だ。
Aダシには、血液をサラサラにする効果のある椎茸、わかめ、大根等をたっぷりと
 入れて作る。
Bそして普段以上に野菜をたっぷりと食べることだ。
 今がまさに旬のキュウリ、トマトなどのサラダに、ドレッシングには梅酢かレモ
 ンか酢を使う。梅酢は特に夏場の弱った胃腸にはとても有効で食中毒の予防にも
 なる。
Dナス焼きや冷奴も体を冷やす。
 生姜やネギやシソの葉などの薬味をたっぷりとかけて食べることだ。

E普段飲んでいる暖かいみそ汁を一旦冷蔵庫で冷やして飲むのもいい。
 適度な塩分が取れる上に体も暑くならずに済む。
Fキュウリやトマトやナス、冬瓜やズッキーニなどに、生姜や香辛料少々多めに入
 れた冷たい野菜スープなども体を涼しくしてくれる。これを水代わりに飲んでも
 いいだろう。
Gまた、そうめんやうどんにキュウリやトマト、ネギをたっぷりと乗せたカレー麺
 も大いにおすすめできる。

Hこうしたあっさり野菜の食事が続いて体力の低下が心配になったら、世間で言わ
 れる油がこってり乗ったうなぎも悪くはない。
I日頃野菜食でうなぎに抵抗感のある人は、野菜をたっぷり添えた白身の魚料理な
 どもいいだろう。
J魚が欲しくなかったら、冷たい玄米のおかゆを梅干しやゴマ塩などで食べるとい
 い。
Kトロロ芋をかけた麦飯などもいい。
 その麦飯に納豆を乗せて食べるのもいい。
L小豆を入れたおかゆはとても元気が出るし、黒豆や小豆、枝豆などは、水分過多
 の今の時期には緩んだ腎臓を優しく守ってくれる。

Mスパゲティやマカロニなどを野菜と一緒に食べるのは、油不足を補うためにもと
 ても有効だ。
Nひじきやワカメの海藻類をしっかりと取ることもオススメする。ワカメと玉ねぎ
 の炒め物は、おかゆやご飯との相性が抜群なのでぜひ一度試していただきたい。

O飲み物は、体を冷やしてくれる麦茶がいいし、酸味のあるオレンジジュースやレ
 モン入りのハーブ系の冷めたいお茶もいいだろう。
P水分を大量にとなれければならない塩分補給には、梅干しが最適。お茶でも水で
 も、梅干しを放り込んで飲めば、塩分不足になることはない。

 以上、あれやこれや参考例だが、猛暑の中でどういう食事を取るかは熱中症対策の有効なリスク回避となる。兎にも角にも、この猛暑を乗り切るのに命を他人任せにしていては絶対にだめだ。個々の判断と適切な行動が必要だ。是非一人一人の知恵と判断で、頑張って生き抜いてもらいたい。 


そのK
異常気象とカエルの話 

危ない異常気象が世界各地に
 つい最近まで、暑い夏の気温は30度を超えるもの。と言う感覚があった。しかし、今年に限って言えば、もはや30度は涼しい気温だという気がする。
 こうして現実に連日40度近い温度になってみると、今や35度だって早くそうなって欲しいと思うほどの気温だ。それほど危ない異常気象が、日本に限らず今世界各地で起こり始めている。

 こうした温暖化による気温上昇の警告は、もうだいぶ以前から言われていた。それは、数十年前から確実に始まっていた。今では、誰もが肌で感じている冬の大雪やその反対の雪の減少も、そんな表れの一つだろうとは思ってはいたが、この頃では、そんなことはもはや当り前のことになっていて、今年の猛暑こそが、その温暖化の危機をリアルに体で感じさせてくれるものだと実感する。

 しかし、多分、この猛暑もまた今後引き続き起こるとすれば、間違いなくこの異常な暑さや洪水などの自然災害も、また、いつしか当たり前のことになってしまう。これこそが実は、恐ろしいことなのである。

人間の環境への慣れの危険性
カエルの話から
 この人間の環境への慣れの危険性を、かなり前から科学者は、「カエルの話」としてよく例え話でしていた。

 それは、カエルをいきなり鍋の中の熱湯に入れると、当然、カエルはその熱さにびっくりして鍋から飛び出すが、水から入れて時間をかけてゆっくりと温めて行くと、熱湯になった段階でも鍋の中にとどまっていて、本人も気づかない内に死んでしまう。と言うものである。

 これこそが、まさに我々が今抱えているいのちの現状だと言う気がする。地震も洪水も台風による大災害もここ数年は次々に起きているが、もう我々自身があまり驚かなくなってしまっている。この猛暑もまた来年起きたとしても、もうさほどこの暑さも多分、もう驚くこともなくなるだろう。

 人類消滅の危機とさえ言われる気候変動と自然災害の多発。個人も社会も、さしたる対策を講じられないままでいると、人間は、まさにこのカエル同様の結果を迎えるに違いない。

 そんな危ないことが山ほどある社会だが、こと地球の未来や人類の生死に関わる環境異変とそこから起こる数々の災害に関しては、いつでもしっかりと事態を判断し、冷静に見る目を養って、可能な限りの対策を講じる努力を怠らず、慣れてはいけないこと!なのだと思う。


そのK
熱中症対策
水の話から野菜の話へ

水の取り過ぎも危険
 熱中症の基本的な対処法は、「十分に水を飲むこと」である。ただし、水だけをやたらとガブガブ飲んでも危険だとも言われている。
 それは、過剰な水分によって血液中の塩分濃度が薄まり、それを修正するために体が自動的に過剰な水分を皮膚から発散させ体内のバランスを取ろうとする。そのことから起こる熱中症もあるのだと言う。バランスの良い水分と塩分の取り方がいかに大事かと言う教えである。

 ところで、この危険な水分中毒に関して言えば、今のような猛暑に限らず、常日頃から現代人が水分を過剰に摂取しなければと言う恐怖心がある。医師などからも、とにかく水分はたくさん取れ!と言われることから、知らぬ間に水分は大量に飲むほどいい、と言う気持ちになっている。

現代人は
食からくる水分摂取症候群
 この水分摂取症候群のもう一つの理由は、現代人が慢性的な体の中の焼けを持っている事実だ。それは、動物性食品である肉や魚、乳製品や揚げ物、甘いお菓子やスイーツ等々、飽食、美食を代表する食材や料理の味付けなどからも、とにかく体を熱くするものを食べ過ぎていると言う事実だ。

 こうした食習慣が続くと、知らぬ間に多血型の体質となり、血圧も高く、始終体の中が油焼けしている状態となってしまうのだ。そんな人が大半だけに、医師もまた、とにかく水をたくさん飲めと進めるのだろうし、本人もまた、どこかでそれを実感しているだけに一生懸命に飲んでしまう。

異常な暑さには
安全、安心な野菜をたっぷり食べる!
 しかし、そんな習慣を、平均的な気温の時にやっていてはあまりよろしくない。その理由は、人の体には人それぞれに異なる体質や状態があり、それに合わない過剰な水分を取りすぎると、やはり水中毒となって、人によっては血圧や体温が下がり血液が薄まることで冷えともなり、状態が悪化する人が少なくないからだ。水分の量はあくまでも、自分の体の状態に合わせた取り方が大事だと言う話である。

 この異常な暑さにも、危ない暑すぎる体と安全な涼しい体があるのだと言うことを忘れないで欲しい。熱中症の対策を、水分だけに頼らず、熱い体を作る食事を減らし、涼しい体を作ってくれる食材や料理を心がけることが大事だと言う話である。最も簡単なのは、安全、安心な野菜をたっぷり食べて涼しい体を作ることだ。ぜひ参考にしていただきたい。




そのM
雑草の強さから学ぶ野菜づくり

草刈の大変さ
 便利さに惹かれて都会の暮らしに憧れる人がいる。一方で、自然環境での生活に惹かれて自然の暮らしに憧れる人もまた多くなっている。

 しかし、確かに自然の暮らしは素晴らしいが、反対に、そんなに楽しいことばかりでもない。自然と向き合うことには大変な面が一杯あるからだ。

 ここ京都の里山でも、そこそこに大変なことがある。その一つが草刈りだ。東北では、草刈りは年に二度もすればどうにか済んだが、ここでは、とても二度くらいの草刈りでは済まない。草の成長が驚くほど早く、5回から6回くらいは絶対に必要だ。ちょっと手を抜いたら、たちまち庭も畑も草でぼうぼうになってしまう。綺麗な環境を保っている農家の人たちに対しても、風景を乱しているようで恥ずかしい気持ちになる。

 その草刈りをやる時に悩ましいのは、雑草の中に生えている可愛い野花を切ることだ。しかし、それを躊躇していたら草刈りなんか出来なくなる。いつもバッサリやって後悔する、そんな連続だ。草刈りとは非情なものでもある。

雑草の強い生命力 
 そんな草刈りで雑草を見ていて驚くことは、彼らの生命力の強さだ。暑かろうが寒かろうが、大雨が降ろうが降るまいが、どんなに厳しい環境下でも、それを見事に生き抜く力が雑草にはある。枯れたり腐ってしまうこともない。青々とした葉を茂らせいつもぐんぐん成長する。日頃気づかないことだが、改めて考えると、これはすごいことである。

デリケートな畑の野菜
 それに対して、畑の野菜のあまりにもデリケートなことにも驚く。わずかな栄養が不足しても水不足でもたちまち成長が止まり、時には枯れてしまう。いつも肥料をたっぷりと与え続け、虫の害からも守らねばならない。
  農薬や化学肥料が無くては、思うように育ってくれないのが畑の野菜たちだ。この違いは一体何だろう?

雑草のようにやさいを育てられないか?
 なぜ、野菜はあれほど繊細に世話をしなければ育たないのか?
 雑草のように世話をしなくても野菜を作ることができないのか?
それが出来たら、どんなに野菜づくりが楽になり、食べて美味しくて、且つ、健康な野菜がもっと容易に手に入ることだろう。

雑草の強さから学ぶ野菜づくり
それは「不耕起」と「混植」
 雑草の強さの秘密の一つは、耕さない大地にある。自然の草地は、どんなに大雨が降っても崩れることも流れることもない。一方、人間の手で耕した大地は、わずかな雨でも地表が削られ、たちまち表土が流れる。これは、耕すことで大地の巧妙な自然のバランスが崩れるからだ。

 もう一つの秘密は、雑草は、あらゆる種類の雑草と混植し渾然一体となっていることだ。この混植であることの多様性が、雑草が持つ生命力の一番の強さの秘密なのではないか?

 動物であれ植物であれ、生命の世界は、本来、驚くほど多様性に満ちているものだ。だからこそ、どんな環境の変化にあっても、互いの力で補い合い、助け合って生き延びて行けるのだ。

 現代社会は、多様性を喪失する時代とも言われる。自分と異なるものを認めたがらない我の強さは、その弱さの裏返しでもある。自分の主張ばかりをし、多様な人間との交わりを避ける社会は脆弱で、やがて滅びるに違いない。
 そんな社会だからこそ、他人をもっと尊重し、関心を持ち、助け、助けられることが必要だ。野菜づくりばかりでなく、人や社会との関係作りにも、雑草の強さから学ぶことが一杯ありそうだ。


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